土井歯科
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~熱中症ガイドライン2024/後遺症について~
日本救急医学会の熱中症および低体温症に関する委員会は2024年7月25日に「熱中症診療ガイドライン2024」を公表した。改訂は約10年ぶりとなる。
・改訂前の重症度分類では、I度(軽症)、II度(中等症)、III度(重症)の3段階としていたが、ガイドライン2024では、より重症な患者の分類として新たに「IV度(最重症)」を導入した。
・本ガイドラインでは「表面体温40.0℃以上(もしくは皮膚に明らかな熱感あり)かつ意識障害あり」をqIV度と定義。
・現場ではまず、qIV度に該当する患者を迅速にスクリーニングするよう求めた。
・その上で、qIV度に該当した患者にはActive Cooling(氷嚢、蒸散冷却、水冷式ブランケットなどを用いた冷却法、ゲルパッド法、ラップ法など)を早期開始しつつ、深部体温の測定を早急に行い「深部体温40.0℃以上かつGCS≦8」に該当すれば「IV度」、深部体温が39.9℃以下であれば「III度」に振り分ける流れとした。
・熱中症の重症(Ⅲ度・Ⅳ度)の後遺症の危険についても記載されている。 熱中症の後遺症は脳へのダメージといわれていて、高温が脳細胞を破壊してしまうことで起こる。
・それによって、めまいや頭痛が続く/記憶力が落ちる/感情を制御できない/嚥下・歩行障害など様々な症状が出る可能性がある
・脳というのはもともと熱に弱い臓器である。皮膚であれば発汗にてコントロールが可能だが、脳細胞はある限界を超えるとつぶれだしていく。
・熱中症は、生きた・亡くなったの両極ではなくて、後遺症なく治ったか、後遺症を持ったまま一生生きることにもなるのか、という段階もある病態なのである
・また、腎臓にも影響が及ぶ。腎臓は体内の毒素を尿にして出すという臓器であり、体内が水分不足になると尿を出さなくなってしまい毒素がたまる(=尿毒症)。
・尿毒症が進行すると腎不全をきたし、一生人工透析をしないといけない恐れがある。
・飲み物を飲むタイミング/有効な飲み物について:カフェインの入っていない飲み物(麦茶など)や水を、一気飲みではなく100ml、200mlと分けて飲むことが腎臓への負担が少ない水分の補給方法である。
・熱中症になりやすい人:熱中症というのは、脱水症といって体の水分が減った状態のことを指す。水分は主に筋肉にあるため(筋肉の70%が水分で構成されている。ちなみに脂肪に含まれる水分量はわずか10%である)、筋肉が少ない人は貯蓄水分量が少なく、より熱中症になりやすい(高齢者、女性、子どもなど)。専門家は適度な筋肉量が重要だと述べている。