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【更年期障害のメカニズム】

 

・更年期障害は、エストロゲン(卵胞ホルモン)分泌の急減が主な原因として挙げられているが、十分に解明されていないのが現状

・しかし、この数十年間に徐々に解明されてきた部分もある

・げっ歯類を用いて脳の特定部位を刺激・破壊する過去の研究等から、「ホットフラッシュは、エストロゲン欠乏によって視床下部において暑さを感じる域値と寒さを感じる域値が狭まる病態」とされた

・確かにホットフラッシュが顕著な女性は、冷えも訴えるので、上記の視床下部における温度中枢が失調する理論は頷け、漢方でいうところの「上熱下寒」と似ている部分があるともされた

 ・そういうわけで、更年期症状のなかでもエストロゲン欠乏と密接に関連しHRT(ホルモン補充療法)が著効するホットフラッシュとエストロゲンとの関連に絞った話題が中心となった

・さらに21世紀になると、いくつかの神経ペプチド(神経末端から分泌され、他の神経に伝達する役割をもつ物質)が注目されるようになった

・とりわけ、視床下部に局在する神経ペプチドである、「ニューロキニン(NK)-ニューロキニン受容体(NK3R)シグナル経路」というものがホットフラッシュとの関与に重要とされている

・他には「カルシトニン遺伝子関連ペプチド」という物質が、血中に分泌されるホルモンとして血管拡張・汗腺刺激作用を有することが知られている

・以上より、エストロゲン分泌の急減により、視床下部をはじめとする中枢組織において神経ペプチドシグナル経路を刺激し、最終的には、末梢組織における血管拡張物質の増加等による血流増加・皮膚温度上昇作用が「ほてり・発汗」を引き起こしていると考えられている

・また、慶應義塾大学先端生命研究所冨田勝所長らのグループとの共同研究においては、ホットフラッシュが顕著に出現する女性では血中βアラニンが増加していることを見出された

・アラニンはアミノ酸の一種でαとβとの2種類存在する

・α-アラニンは、タンパク質を構成する成分として、ほとんどの細胞に含まれている。

・主に筋肉の中に存在するβ-アラニンは、その他のアミノ酸のように、体内で他のタンパク質の合成のために使用されることはなく、筋肉量と筋力の増強に効果的とされる

・βアラニンはプロテインの一種として市販されており、大量経口摂取すると「ほてり・発汗」を引き起こすことが知られている

・アラニンを多く含む食品としては、「豚肉」「にしん」「かずのこ」「卵白」「とびうお」「海苔」「いわし」「ごま鯖」が挙げられる

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